
空室対策は家賃を下げるだけじゃない!民泊という新しい選択肢を解説
空室対策は家賃を下げるだけじゃない!民泊という新しい選択肢
賃貸物件の空室が長引くと、オーナー様から「家賃を下げたほうがよいでしょうか」と相談されることがあります。
確かに、家賃を下げればポータルサイト上で検索されやすくなり、問い合わせが増える可能性はあります。しかし、空室対策を考えるたびに家賃を下げていては、物件の収益性そのものが少しずつ落ちてしまいます。
そこで、家賃の値下げとは違う選択肢として注目したいのが、空室を民泊として活用する方法です。
民泊は、一般の住宅やマンション、戸建てなどを活用し、旅行者や出張者へ宿泊場所として提供する仕組みです。立地や間取りによっては、通常の賃貸募集では決まりにくかった物件に、新しい需要を呼び込める可能性があります。
もちろん、すべての物件が民泊に向いているわけではありません。法律や自治体の条例、建物の管理規約、近隣住民への配慮など、事前に確認しなければならないこともあります。
今回は、空室問題に悩む管理会社やオーナー様に向けて、家賃を下げるデメリット、民泊という活用方法、民泊に向いている物件、そして管理会社が提案するメリットについて分かりやすく解説します。
- 空室の原因は、家賃の高さだけとは限らない
- 家賃の値下げは、長期的な収益や物件価値に影響する
- 立地や間取りによっては、民泊としての活用を検討できる
- 民泊の実施には、法律・条例・管理規約などの確認が必要
- 管理会社から提案することで、オーナーとの関係強化につながる
長期化する空室問題に、管理会社はどう向き合うべきか
空室が発生したとき、まず行われるのが募集条件の見直しです。家賃、共益費、敷金・礼金、フリーレント、設備、写真、募集コメントなどを確認し、問い合わせが増えるように改善していきます。
しかし、募集条件を整えても、なかなか申し込みにつながらない物件があります。
例えば、駅から距離がある物件、築年数が経過している物件、周辺に似た間取りの新築物件が多いエリアなどです。問い合わせは入るものの内見後に断られたり、ポータルサイトへの掲載を続けても反響がほとんどなかったりします。
現場では、次のような状況がよく見られます。
- 募集開始から数か月が経過している
- 写真や募集コメントを変更しても反響が増えない
- 問い合わせはあるが、他の物件と比較されて負けてしまう
- オーナー様から空室対策について何度も連絡が入る
- 担当者も値下げ以外の提案が思い浮かばない
このような状況が続くと、管理会社としても苦しくなります。オーナー様から「本当に募集しているのですか」「ほかにできることはありませんか」と聞かれても、毎回同じ説明しかできなくなってしまうからです。
ただし、ここで注意したいのは、空室の原因が必ずしも家賃だけではないということです。
その地域で長期入居を希望する人が少ない、間取りと地域の需要が合っていない、通勤や通学には不便でも観光地へのアクセスはよいなど、通常の賃貸市場とは別のところに需要がある物件も存在します。
「賃貸住宅として誰に貸すか」だけで考えるのではなく、「この空間を誰に、どのように利用してもらうか」という視点に切り替えることが、新しい空室対策につながります。
家賃を下げる空室対策にはデメリットもある
家賃の値下げは、すぐに実行できる空室対策です。例えば、家賃を月額7万円から6万7,000円へ変更すれば、検索条件の上限を7万円未満に設定している人にも表示されやすくなります。
短期間で入居者を決めたい場合には効果的な方法ですが、一度下げた家賃を元に戻すのは簡単ではありません。
年間収入が継続的に減少する
月額家賃を3,000円下げると、年間では3万6,000円の減収です。入居者が5年間住めば、単純計算で18万円の差になります。
1室だけなら大きな金額に見えないかもしれません。しかし、同じ建物で複数の部屋を値下げすると、建物全体の収入に与える影響は大きくなります。
また、家賃収入が減っても、固定資産税、管理費、修繕費、共用部の電気代などが同じ割合で下がるわけではありません。結果として、手元に残る利益が想像以上に少なくなることがあります。
ほかの入居者との家賃差が問題になる
同じ建物の空室だけを大幅に値下げすると、既存入居者との家賃差が広がります。
現在はポータルサイトを見れば、同じ建物の募集賃料を簡単に確認できます。既存入居者が安い募集賃料を知り、契約更新のタイミングで家賃交渉を申し出る可能性もあります。
管理会社の担当者としては、新しい入居者を決めるために値下げしたつもりでも、結果的に建物全体の賃料水準を下げるきっかけになりかねません。
物件の印象を下げることがある
相場より家賃が安いことは、必ずしも良い印象だけを与えるわけではありません。
部屋探しをしている人から「何か問題があるのではないか」「騒音や周辺環境に理由があるのではないか」と警戒されることもあります。
家賃を下げる前に、写真の撮り直し、設備の追加、初期費用の調整、ターゲットの変更などを検討し、それでも難しい場合に価格を見直すことが大切です。
家賃の値下げ自体が悪いわけではありません。
大切なのは、周辺相場や競合物件を確認せず、空室が出るたびに値下げだけで解決しようとしないことです。物件の特性によっては、別の活用方法を検討したほうが収益を確保できる場合があります。
「募集を続けても入居者が決まらない」「これ以上、家賃を下げたくない」という物件について、立地や間取り、周辺環境を確認しながら活用方法をご提案します。民泊としての活用が可能かどうかも含め、まずはお気軽にご相談ください。
空室活用・民泊の相談はこちら空室を民泊として活用するという考え方
民泊とは、戸建て住宅やマンションなどの全部または一部を利用し、旅行者や出張者へ宿泊場所として提供するサービスを指します。
通常の賃貸借契約では、入居者が数か月から数年間にわたって生活します。一方、民泊では、数日程度の短期滞在を希望する人を受け入れるのが一般的です。
そのため、長期入居者からは選ばれにくい物件でも、旅行や出張を目的とする宿泊者から選ばれる可能性があります。
例えば、駅から少し離れていても観光地に近い戸建て、生活には車が必要でも複数台の駐車ができる物件、ファミリーには古さが気になるものの大人数で泊まれる広い住宅などです。
通常の賃貸募集では弱点に見えていた特徴が、民泊では強みになることがあります。
民泊を始めるには手続きが必要
民泊は、空室に家具や寝具を置き、宿泊予約サイトへ掲載すればすぐに始められるものではありません。
日本で宿泊サービスを行う場合は、主に「旅館業法による許可」「住宅宿泊事業法による届出」「国家戦略特区法による認定」のいずれかの手続きが必要です。
住宅宿泊事業法に基づく民泊は、原則として年間の宿泊日数が180日以内です。また、自治体の条例によって営業できる曜日や期間が制限される場合があります。
さらに、物件によっては用途地域、消防設備、建物の管理規約、賃貸借契約の内容なども確認しなければなりません。
特にマンションの場合、法律上は民泊を検討できる地域であっても、管理規約で民泊が禁止されているケースがあります。分譲マンションの一室を活用する場合は、管理組合や管理規約の確認が欠かせません。
また、家主が物件に居住せず民泊を運営する形態では、一定の場合を除き、国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託する必要があります。
民泊を提案するときは、「収益が期待できる」という話だけを先に進めるのではなく、行政、消防、管理規約、近隣対応まで含めて実施可能性を確認することが重要です。
※民泊に関する規制や必要な手続きは、物件所在地、建物の用途、運営方法などによって異なります。実施前に自治体、保健所、消防署などの関係窓口へご確認ください。
民泊に向いている物件の特徴
民泊に向いているかどうかは、通常の賃貸物件とは少し違った視点で判断します。
「築年数が新しいから向いている」「駅から近ければ必ず成功する」という単純なものではありません。誰が、何のために、その地域へ宿泊するのかを考える必要があります。
観光地やイベント会場へのアクセスがよい
民泊では、最寄り駅からの距離だけでなく、観光地、テーマパーク、スタジアム、イベント会場などへの移動のしやすさが重要です。
例えば、駅から徒歩15分の物件でも、人気の観光地へバス1本で移動できる、大型イベント会場まで車で10分という特徴があれば、宿泊者に選ばれる可能性があります。
複数人で宿泊できる戸建てや広い間取り
ホテルでは、家族やグループが複数の客室に分かれなければならないことがあります。一方、戸建てや広いマンションであれば、同じ空間で過ごせることが魅力になります。
リビングが広い、寝室が複数ある、キッチンや洗濯機が使えるといった物件は、家族旅行、グループ旅行、長期出張などと相性があります。
駐車場を確保できる
地方や郊外では、車で移動する旅行者も少なくありません。敷地内に駐車場がある物件は、レンタカーを利用する宿泊者にとって大きなメリットになります。
通常の賃貸募集では駅からの距離が弱点になっていた物件でも、複数台の駐車スペースがあれば、家族やグループ向けの宿泊施設として特徴を出せます。
周辺の宿泊需要を見込める
民泊需要は、観光客だけではありません。
工場や事業所への出張、大学受験、スポーツ大会、コンサート、病院への付き添い、冠婚葬祭など、地域によってさまざまな宿泊需要があります。
管理会社が日頃から地域の動きを把握していれば、「この地域にはビジネスホテルが少ない」「大会の時期だけ宿泊施設が不足する」といった情報を、物件活用の提案に生かせます。
- 観光地やイベント会場にアクセスしやすい
- 複数人で宿泊できる広さがある
- キッチン、浴室、洗面設備などが整っている
- 敷地内または近隣に駐車場がある
- 近隣住宅との距離を確保しやすい
- 周辺に宿泊施設が少なく、一定の需要がある
反対に、管理規約で民泊が禁止されている物件、近隣住民との距離が近く騒音トラブルが起こりやすい物件、避難経路や消防設備の整備が難しい物件などは、慎重な判断が必要です。
管理会社が民泊を提案するメリット
民泊は、オーナー様だけで判断して進めるには確認事項が多い活用方法です。そこで重要になるのが、物件と地域の両方を理解している管理会社の存在です。
値下げ以外の提案ができる
空室の相談を受けるたびに「もう少し家賃を下げましょう」と伝えるだけでは、オーナー様から見た管理会社の価値は高まりません。
もちろん、すべての物件に民泊を勧める必要はありません。しかし、通常賃貸、マンスリー利用、法人利用、民泊など、複数の選択肢を比較したうえで提案できれば、オーナー様は納得して方針を決めやすくなります。
物件を預かる会社から、資産活用を一緒に考える会社へ変わることができます。
オーナー様との関係を強化できる
オーナー様が管理会社に期待しているのは、家賃の集金や入居者対応だけではありません。空室を減らし、物件の収益をできるだけ維持することも大きな期待の一つです。
空室期間、周辺の賃貸需要、宿泊需要、必要な初期費用、運営上のリスクなどを整理して提案できれば、「この管理会社は物件の将来まで考えてくれている」と感じてもらいやすくなります。
新しい管理業務につながる可能性がある
民泊運営では、宿泊者への案内、鍵の受け渡し、清掃手配、備品管理、騒音やゴミ出しへの対応など、通常の賃貸管理とは異なる業務が発生します。
自社ですべて対応するのが難しい場合は、民泊運営会社、清掃会社、住宅宿泊管理業者などと連携する方法もあります。
管理会社が窓口となって必要な事業者をつなぐことができれば、管理サービスの幅を広げられる可能性があります。
ただし、民泊は「始めれば必ず収益が上がる」ものではありません。家具・家電や消防設備の導入費、清掃費、予約サイトの手数料、光熱費、消耗品費なども発生します。
管理会社が提案するときは、期待できる売上だけでなく、必要経費、稼働率、季節変動、近隣トラブルのリスクまで説明することが大切です。
まとめ|空室対策は物件の使い方から考える
空室が長引いたとき、家賃の値下げは分かりやすい対策です。しかし、値下げを続けると、年間収入の減少や既存入居者との家賃差など、別の問題が生まれることがあります。
だからこそ、家賃を下げる前に、その物件を通常の賃貸住宅以外の方法で活用できないか考えてみることが重要です。
観光地やイベント会場に近い物件、広い戸建て、駐車場のある物件、周辺に宿泊施設が少ない物件などは、民泊として新しい需要を取り込める可能性があります。
一方で、民泊には法律上の手続き、自治体の条例、消防設備、管理規約、近隣住民への配慮など、事前に確認すべき項目があります。収益だけを見て判断せず、物件ごとに実施可能性を調査しなければなりません。
空室対策で大切なのは、すぐに家賃を下げることではありません。
通常の賃貸募集を続けるのか、設備を改善するのか、募集する入居者層を変えるのか、それとも民泊など別の活用方法を検討するのか。物件の特徴と地域の需要を確認し、複数の選択肢から判断することが大切です。
管理会社から新しい選択肢を提示できれば、空室の解消だけでなく、オーナー様との信頼関係を深めるきっかけにもなります。
長期間入居者が決まらない物件や、家賃の値下げを避けたい物件について、通常賃貸だけに限定せず活用方法を検討します。民泊に向いている立地や間取りなのか、どのような確認が必要なのか、まずはお気軽にお問い合わせください。
空室活用・民泊について問い合わせる※本記事は一般的な情報をもとに作成しています。民泊の実施条件や必要な手続きは、物件所在地、自治体の条例、建物の用途、管理規約、運営形態などによって異なります。具体的な事業開始にあたっては、自治体、保健所、消防署、行政書士などの専門家へご確認ください。